「いい妻」の放棄宣言

夫と結婚した当初、「いい妻」を目指していました。
しかし、「いい妻」になるのは、難しい。

あるとき、限界を感じて「いい妻じゃなくてごめん」と夫に謝ったことがありました。
すると夫は、「”いい妻”って何?」と聞いてきたのです。

「料理が上手で、いつも部屋をきれいに保って、ほかの家事もこなして、不機嫌にならなくて…」と思いつくままに「いい妻」像を伝えると、「絵里がそうなりたいなら、なればいいけど、僕は”いい妻”になってほしいなんて思ったことないよ」とのこと。え、そうだったの?!

私は、勝手に「いい妻にならなくちゃいけない」と思い込んでいたのだな、とそのとき初めて気づきました。それも、「いい妻」が何なのかもわからないまま。

その日を境に、私は「いい妻」を目指すことをやめました。
疲れていたら夕食を作るのを辞退したり、掃除や洗濯も毎日しないで手を抜いたり。

思い返せば、夫婦間だけでなく「親孝行のいい娘にならないといけない」「会社ではいい先輩になるべき」と思い込むことがありました。でも、よく考えてみたら「いい」の内容は人によって異なるし、そもそも誰も求めていなかったり、必要ないことだったりする。そう思うと、いい具合に力が抜けて、気持ちよく過ごせるようになりました。

そして同時に、相手にも「いい夫」を求めないことが大事ですが、これは現在も訓練中。つい他人には期待してしまうので…。「いい妻」は、やっぱり難しい。

(photo by Shinya Fujiwara)

最終更新日:2019年5月23日
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