「夫と機嫌よく暮らす知恵」は意外とシンプルだった

一田憲子さんの著書『ムカついても、やっぱり夫婦で生きていく』を読んだ。
タイトルが印象的なこの本は、7人の女性に夫婦とは?どうやって夫婦関係を築いてきたのか?などについて聞いたもの。

サブタイトルが「夫と機嫌よく暮らす知恵」とあるように、異なる環境で生きてきた夫とともに生活するうえで、イライラしてしまったり相容れないことがあったりするけれど、それでも楽しく暮らしていくために悩み、もがき、気づいたことがまとめられている。

かくいう私も、夫といるとよく不機嫌になってしまう。
どうしてお皿を洗ってくれないの?
どうして掃除してくれないの?
どうして…と、相手に不満をぶつけてしまう癖がある。

単純に「そのお皿、洗ってくれる?」とか言えば済む話なのに、勝手にイライラし、そのイライラが夫にもうつり、悪循環に…。
もう不機嫌になるのはやめたい!と長年思っているものの、どうしても不機嫌に向かってしまう。

そんな私に刺さった一節があった。

ある朝、前の晩にいつものように派手に喧嘩をして、どんよりしたまま朝ご飯を食べている夫の姿を見て、『私はいつまでこの不機嫌を続けていかなければいけないんだろう』って思ったんです。
そのとき、あれ?『いつまで続ける』っていう主語は『私』だよな、って気づいちゃった。つまり『続けている』のは自分なんじゃないか?って。
えっ?私が続けているの?じゃあ、私が不機嫌を続けないって決めたらどうなるんだろう?って。そこで思考の切り替えのスイッチが入ったんです。
(P130 鈴木尚子さん)

頭で分かってはいたけれど、やっと体に浸透したような感じがした。

この話をした鈴木尚子さんは「不機嫌を続けないためには、何をしたらいいんだろう」と考え、「まずは何か行動を変えないとダメだ」とひとつの引き出しの整理から始め、その後6年かけて散らかった部屋を片付けたそう。
(のちにそれが仕事に発展していくのだが、それについては著書にて。)

本に登場するほかの方も、価値観の異なる夫とぶつかり、「相手を変えることはできない。変えられるのは自分だけ」という結論に至った、というパターンが多かった。

冷静に考えれば当たり前のことだけど、誰かと正面から向かい合う体験をしなければ、本当の意味で理解することはできないし、行動に移すこともできないのだと思う。

実際に「今日から自分を変えよう!」と思っても、なかなか変えられないもの。鈴木さんのように行動や習慣から少しずつ変えていかないと、大きな変化にはつながらない。

さて、私は何から始めよう?

うーん、と考えていたら、そのヒントになりそうな一節もあった。

私ね、矢印を相手に向けちゃダメなんだなってわかったんです。『何かをしてほしい』とか、『どうしてわかってくれうないの?』とか『私、どう思われているだろう?』とか……。
そうじゃなくて、矢印を自分へ向けるんです。『私は何がしたい?』『どうありたい?』『何が気持ちいい?』って。それで、『コーヒーが飲みたいな』と思ったら、自分をおいしいコーヒー屋さんに連れていってあげる。
(P55 久保輝美さん)

私っていま何をしたい?と、自分に聞いてみる。
そして、やってみる。
これなら、すぐにできそうだ。
しかも、こんな簡単なことが夫婦円満につながるかもしれないとは。
なんだか得した気分。

「夫と機嫌よく暮らす知恵」をのぞいてみたい方は、ぜひ。
https://www.amazon.co.jp/dp/4295200379/
(ちなみに書籍のもとになった連載記事は、一田さんのホームページ「外の音 内の香」でも読めます。)

最終更新日:2022年6月8日
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